会長挨拶
東 正浩
日本インダストリアル・エンジニアリング協会 会長
㈱ブリヂストン 取締役 代表執行役 Joint Global COO
私たちを取り巻く環境は一層大きく変化し続けています。2020年に発生した新型コロナウィルス感染症の拡大は人々の生活や世界経済に打撃を与え、未だに大きな影響を残しています。日本国内の感染法上の位置づけは2類から5類に移行されましたが、各企業においては、コロナ禍で得たもの、失ったものを冷静に見極めながら新たな社会活動に貢献していく必要があると考えます。また、ロシア・ウクライナ危機を発端とした国際情勢の変化、原材料価格高騰、急激な物価上昇など、事業環境は増々厳しいものとなっています。その一方で、持続可能な開発目標(SDGs)に沿った取り組みがグローバルで促進されており、産業界全体でもサステナビリティの観点が更に重要視されるようになってきています。
そうした中、日本国内のモノづくりは、強い現場力で生産性を上げてきたこれまでの歴史がありつつも、労働人口の減少に伴って加速する労働力確保の困難さや多様な価値観、人依存が残る現場など様々な要素が絡み合い、モノづくりの維持そのものが厳しくなる可能性もあります。
この状況下で企業に求められるのは、変化に素早く対応できる体制の強化と、変わりゆく社会価値と顧客価値を両立できる取り組みを推進し、持続可能な社会を支え続けるという責任を果たすことであると考えます。またIE領域では、従来から推進してきた生産現場の効率化に向けた取り組みを普遍的なアプローチとして継続すると共に、より幅広くバリューチェーン全体の効率化及びサステナビリティに向けた活動を加速し、新たな価値の創造に貢献していく必要があります。そのためには、IE諸活動においてこれまで洗練を重ねてきた「現物・現場の視点」「IE技術の視点」に「社会価値・顧客価値の視点」を加えて、課題設定と改善活動を更に磨きあげていくことが急務です。
日本IE協会は設立60年を超える歴史のある組織です。その歴史を重んじつつ、社会の変化に迅速・的確に順応し、設立当初からの目的である企業や組織の生産性向上に寄与する活動を継続して推進したいと考えております。引き続き、会員及び関係者の皆様のご支援、ご協力をよろしくお願い申し上げます。